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4.オールIP化とLTE

(1) オールIP化とLTEのシステム構成
1)オールIP化
音声通信とデータ通信は今後集約されて同じプラットフォームで動く、オールIP化が推進されるといわれます。
携帯電話会社側としても音声とデータの機器と管理保守をするよりも費用が押さえられますし、今後の開発もやりやすいと思われます。
LTE-Adbanced(現在の3.9GもLTEといわれる。)が4Gですが、これは既に上記のオールIP化したシステムが基本となっています。
3Gよりもシンプルな構成ですが、これは音声の回線交換方式に対応していないのも理由です。

 

(2)LTEの構成
2010年12月にNTTドコモにてサービスが始ったLTEですが以下のようなシンプルな構成です。

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データの中継機能を実現するノード
S-GW:3GPP無線を収容し、ユーザー・データを伝送する装置ユーザ
P-GW:外部ネットワークと接続するゲートウエイ
MME:端末の位置登録や、呼出、基地局間ハンドオーバなどの管理を行うノード。
HSS:携帯電話番号や端末識別番号などのユーザー情報を管理するデータベース

(2) LTE
1)LTEの出現
CDMA、HSDPAの次がLTE(Long Term Evolution)です。 CDMAでのシステムでは利用者の増加とデータ伝送需要は次の開発を促しました。
特に高速通信のためにはCDMAの拡散コードがネックとなり取り扱いが困難となったのが大きな要因です。

LTEの特徴は 
①さらに高速伝送
②低遅延
③IPパケットベース
④周波数が柔軟
というものです。

2)LTEと3Gの比較諸元

 

上記①~③は比較表で確認できますが、④は、周波数帯域幅が複数あるので世界のいろいろなところで使いやすいという意味です。

3)OFDM
ユーザー多重で使われる技術がOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing、直交周波数分割多重)はマルチキャリア方式と呼ばれる通信方式の1つで、複数のキャリア(搬送波)を使うことで、より多くのデータを送ることができるようにした通信方式です。
そして既にIEEE 802.11a/gといった無線LANや、ワイヤレスUSBなどに採用されている変調方式です。
OFDMが持っていた弱点を克服しており、つまりは複数のサブキャリアを同時に使って並列的に通信するという方式で、普通に考えると帯域が広くなり効率がさがりますが、周波数間を狭くできればよいわけでOFDMはこれを行っています。(サブキャリア間隔は15kHz) また直交していますので互いに干渉をしません。

 

 

(出典:日本工作電業のウェッブサイトより)

 

OFDM信号の生成は数学用語である逆フーリエ変換で行います。(つまり時間信号を周波数信号で変換する) そして、特徴としては遅延波に強いですが、弱点としてはピーク電力が大きいというものがあります。 これはサブキャリアが同じ位相を持っていたら大きくなるからです。よって、上りシングルキャリア方式を使っております。

 

(3) 無線VoIP
 VoIPとは音声をデジタル符号にし、サーバをつかい通話先の特定とか、発信・着信の制御などの呼制御を行う方式です。

 oIP の特徴として,伝送路を効率的に使えることがあります、 また各種アプリケーション連携が簡単であり,逆に弱点というと、音が揺らいでしまうといった、音声の保証証ができないことにある。

 送路を効率的にというのは、音声用の専門伝送路が不要になるということです。 アプリとの連携はIP化されているので簡単なわけです。
音質はその性格上保証がし辛く100m秒程度の遅延はあると思われる。 さらにトラフィックが増えるとパケットが届かない、という恐れが出ます。

 そもそもリアルタイム性を追求しないのがIPなので実は無理があるが、端末の性能が上がったし、ネットワークの処理も早くなったという背景があります。

 こでは有線でなく無線でVoIPと言うことは、無線特有の特徴をどのようにうまく処理できるかということに。
データ伝送で無線通信ができていたら、セキュリティの問題等はあるが無線VoIPは無理なくできるはずと考えられます。 

(4)IP無線

IP無線という通信端末が3,4年前から市場に出てきております。 

緊急時の通信用というふれこみですが、中身はn:m通信がシンプレックスまたはデュープレックスでできる携帯電話機器です。なんら目新しいものではありません。無線機のように使える携帯電話と言う事です。

また、あくまで低コストをうたうMVNOでも結局キャリア網を使うわけで、たとえればJRの線路に自分の列車を走らせるようなもので、利用時に有先権どころか、朝晩の混雑時は利用を遠慮する(または自制する)必要があります。線路(周波数帯)も同じものを使います。 故に混雑時どころか災害時に強いとかはまったくナンセンスです。確率的にも原則的にも有り得ません。

尚、輻輳回避は圧倒的な同時接続数と極低遅延とあいまって5Gで現実化する予定と言われております。

但し、自営網をつかうならばIP無線はレガシーの距離限定通信可能である無線機の代替にはなりえます。