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1. 現在の通信市場

(1) 市場規模と特徴
現在の日常生活や経済・社会生活においてスマートフォンを筆頭として情報端末は広く普及しています。
2017年6月末時点で携帯電話の契約数はわが国の主要3社(NTTドコモ、KDDI、ソソフトバンク)合計で1億6311万2000であり、音声での会話や、メール、ウェッブ閲覧やSNSといたウェッブアプリといったサービスを受けております。

産業としてみると、通信業界と分類されますが、この市場規模は2016年において約29兆円で約3万4千人が就業しており、産業としてはGNPから見ても17%程度の大きな産業であります。

通信の目的は以前より、「いつでも、どこでも」のいわゆるユビキタスという言葉で代表されるように、制限のない通信サービスを目指し、現在ではさらに「(より)早く」、「大容量」でつまり「0タイム」ウェイト(待ち時間なし=待てない)をどんなサービスにおいても要望が大きくなっています。

一般の方がなにかと通信をする際には相手が”人間”か”機械(サーバーなど)”と大別されます。 そして、今後はM2M(Machine To Machine、機械間通信)とかIoT(Internet of Things、何でもインターネットにつなぐ)と言った、機械と機械が通信し、その結果や成果を人間が利用する、という図式が出来上がっています。
さらにAI(artificial Intelligence、人工知能)が加わると人間の独壇場の”インテリジェンス”により例えば、災害時にとどまるのか逃げるのかといった判断のための情報に加えて、判断そのものを行うことができるかもしれません。
これは大容量通信の成果というよりもデータ到達遅延が極めて少ない、と言う技術の進歩が必要なことを意味しています。

また通信業界の巨人といえば、何社かありますが、アップル社とGoogle社が代表的といってよいでしょう。
アップルが約22兆円(2016年の数字)、Googleの親会社のAlphabetが2.8兆円(2017年の数字)の売り上げがありますが、一方はメーカーであり、他方は検索サービスを行うことを主とし、広告業としての売り上げが90%以上です。
ただし、アップルはハードウェアの利用意欲を刺激するアップルストアというサービスを展開していっているのは有効な相互サービス提供の成功例であるといえるでしょう。 ハードウェアが60%で残りがAppleStoreなどのサービスの売り上げです。

回線網や電波設備を支えている塔や電源のインフラをみると、派手さはありませんが、インフラとしてのネットワーク(有線、無線)の大切さは弱まることはないです。利用4時間単位でみると低減化しているので、その使い方や連携で付加価値をあげることは今後の課題でもありビジネスの新しい展開になると思われます。 
構成として、クラウドサービスの2017年の予想では約18兆円とあります。
(総務省のサイトより http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h28/html/nc122320.html

(2) 無線の利用と管理
1)多種類の無線機器
無線機器を使ってほかの無線機器と通信したかったら、昔なら利用に際して資格や免許が必要な場合がありました。 まさしく無線局(TV局と同じ意味合い。電波を送出します。)です。 そして一方現代では使いこなせないくらいの機能や特徴を持った携帯電話やスマートフォン(以下スマホ)、以下総称して携帯電話、を多くの人が使っています。
電話だけでなく、買い物やチケットの予約などの少し前なら実際のお店にいったり、事務所のカウンターまで出向いたりしないと受けられないサービスがいとも簡単に受けられます。すばらしい技術の進歩です。しかも利用に際して資格も免許も要りません。 ただし、利用についての利用料は必要です。

なお、無線機器は、携帯電話はもちろん固定の無線局もあり、衝突回避などのレーダーに利用可能なUWB(Ultra Wide Band:超広帯域無線)も含まれます。 加えて、多く利用されているトランシーバーやアマチュア無線、業務無線、MCA無線、特定小電力機器、PHSも無線機器です。 さらに、利用のシーンが増えている無線LANもその名のとおり、線のいらないLANでありまた国際的な認証機能が成功している例です。(Wi-Fi認証)
更に、TV・ラジオの放送局も無線を使って放送事業を行っております。
なお、無線機の中には利用に当たって許可や資格が必要なものもあります。

このように無線機には複数の種類がありますが、海上・船舶無線、鉄道無線、航空機無線といったように業務にそった分類で無線機を分ける方法もありますし、事務所のLAN環境があるところでは、前出の無線LAN(IEEE802.11a/b/g/n)を使って無線で内線電話として使っていることもあります。

 尚、総務省の資料では、36種類の無線機器の記載があります。
 (http://www.tele.soumu.go.jp/resource/search/myuse/usecondition/wagakuni.pdf)

2)周波数の管理
無線機器の利用は総務省で管理された法令に規定されており、利用は公的機関で認証された機器しか利用できません。 
また無線機器にとってどの周波数が使えるかは技術的、製品性能的にとても大切ですが、この周波数の割り当ては総務省が行っており、国民の資産でもある電波の公平な利用を目指しております。 また、この周波数の割り当てに対しては民間や諮問会議やパブリックコメントを募集しており、さらに国際的な利用も考えての割り当てが行われております。
なお、電波の定義は、3T(テラ)Hz(ヘルツ)(3 x 10の12乗)以下の電磁波と規定されています。

下記は335.4MHz~960MHzの場合です。
 電波は国民の財産と言われます。よって、わが国では上記のサイトのあるように、総務省が周波数の割り当てを行っており、使える無線機器も技術適合検定をうけた機器しか基本的に使えませんので、勝手に自分の都合のよい無線機をつくって、自由に周波数を使うことはできません。
有限の資産であるからこそ、如何に効率よく使うかと言った無線技術が進歩して行ったと言えます。

 

 

 

3)周波数ごとの利用方法

電波には周波数による特色があってそれをまとめたものが以下のようです。

 

周波数 波長 名前 用途など
30kHz以下 10km以上 超長波(VLF) 電波時計
30kHz~300kHz 1km~10km 長波(LF) 長波時計、潜水艦との通信
300kHz~3MHz 100m~1km 中波(VF) ラジオ放送
3MHz~30MHz 10m~100m 短波(HF) 海外向けラジオ放送
30MHz~300MHz 1m~10m 超短波(VHF) テレビ
300MHz~3GHz 0.1m~1m 極超短波(UHF) テレビ、携帯電話、無線LAN
30GHz~300GHz 0.01m~0.1m センチ波(SHF) 衛星放送、レーダー
300GHz~3THz 0.001m~0.01m ミリ波(EHF) 車載レーダー
3THz~30THz 0.0001m~0.001m サブミリ波/赤外線 -
30THz~370THz 810nm~0.0001m 赤外線 加熱
370THz~790THz 380nm~810nm 可視光 -
790THz~30PHz 10nm~380nm 紫外線 殺菌
30PHz~300Ehz 0.001nm~10nm X線 レントゲンなど
300Ehz以上 0.1nm以下 γ線 放射線

 

(3) 今後の動向
1)現状
携帯電話を取り巻く状況をみてみると、スマホの利用者の増加とデータ通信でいわゆるリッチコンテンツへの需要が急激に増えており(特に動画が増大)、2014年9月から2017年9月のデータをみると、この期間でトラフィックが2倍以上になっております。

さらにキャリアの各携帯電話への接続を保管する意味でも無線LANの使用量が大幅に増加しています。

なお、携帯電話の進化ではアナログからデジタルへ移行し、デジタルも通信方式が世代ごとに異なります。この通信方式は各国の思惑もあり統一がなかなかできませんでしたが、第三世代をIMT-2000、それ以降をBeyond IMT-2000またはIMT-Advancedと呼ばれています。(またはLTE-Advancedとも呼ばれます。)

2)携帯電話ではLTEから第5世代へ
現在は3Gと3.9Gが中心ですが、LTE-Advancedと言う第4世代が本格化しより大容量のデータ伝送要求に応えるようになります。 キャリア3社(NTTドコモ、KDDI、ソフトバンク)へは3.48GHz~3.6GHzの周波数帯の割り当てが済んでいます。
またさらに高品質で大容量、高速度通信が東京オリンピック・パラリンピックの開催される2020年に世界初となる技術展開をすべく携帯電話会社や携帯端末メーカーが開発中です。
今のところ無線通信に対する課題分類は済んでいるようで、今後はIoTによる新たな需要の掘り起こしや人間の労働に変わる作業の情報通信と管理に向かうかと思われます。 その際にセキュリティが大きく問題となり、これは想像をたくましくするとAI(人工知能)との連携があるかも知れません。
いままで機械だと人間の精神活動や創造的な作業は機械やソフトでは置き換わらないと思われていましたが、置き換わるとしたらこれは非常にたくさんの情報を処理することになるかもしれないので、通信の世界はまた新たな局面を迎えることも考えられます。
いずれにせよトラフィックは非常に大きくなることは容易に想像できますので、その伝送路となる無線伝送路、それらを結ぶ光ファイバー伝送路の整備強化が求められますので誰がこれを負担するのかの議論も重要となるでしょう。