第4章 既存通信設備

4.1 既存電話網
4.1.1 システム構成と概要
・ 1890年(明治20年)以来
・ 国内だけでも約6000万加入者がいた。

4.1.2 電話網の構成

4.1.2.1概要
電話網では、交換機、伝送路そして電話端末で構成されたもの。


   


RC: Regional Center 統括局 (8): 札幌/仙台/東京/名古屋/大阪/金沢/広島/福岡
DC: Distribution Center 中心局 (80): 県単位主要都市
TC: Toll Center 集中局 (560): 地方都市
LS: Local Switch 端局 (560) EO (End office) (7000)
GS: 関門交換機 (Gateway Switch)

GS --- | -- <長距離> 00XY
| -- <国際> 010
| -- <携帯・PHS> 080・090
| -- <IP電話> 050
| -- <他地域網> 010


加入者線の長さ: 約1.9km(平均)で7km以下

■ LS (Local Switch)



LS: 400端子/最小〜数百万端子



n:m, 2:1 〜 16:1

■ TS




4.1.2.2 現在のNTT網



SZC: Special Zone Center (特定中継局)
CV: Zone Center (中心局)
IC: Intrazone Tandem Center 
GC: Group Center (群局)
UC: Unit Center

■ 信号網POI(Point of Interface)
市内交換機 -◎- 地域系NCC
市外交換機 -◎- 長距離系NCC

■番号体系
0AB〜J: 一般加入電話
1XY: 特殊サービス
0AB0: 0120、0800、0990など
0A0: 携帯
00XY: 事業者識別番号
 0033/0034 NTTコミュニケーションズ
 0036 NTT東日本
 0039 NTT西日本
 0077 KDDI
 0088 日本テレコム


4.1.2.3 ダイヤル方法と接続手順




4.1.2.4 信号方式

(1) 信号方式とは
電話の信号方式にはアナログ電話網用とデジタル電話網用の二通りあって、それぞれまた種類がある。

(2) アナログ電話用信号方式
アナログ電話網と端末は、2線または4線のケーブルで結ばれており、そのケーブルを流れるDC、直流電流で端末(電話機やPBX)のオンフックまたはオフフックの状態を知ることになります。

この信号方式は四種類ある。
1) ループ スタート シグナリング
 コールを開始するオフフック信号と、ループを閉じてコールを終了するオンフック信号を送信します。ループ スタート トランクには確実な接続解除監視がないため、2つのコールが同時にトランクを捕捉するときにグレアが発生する可能性があります。

2) グラウンド スタート シグナリング
 トランクの両端でオフフック信号を検出する電流検出メカニズムがあります。このメカニズムでは、トランクを捕捉する側をエンドポイントが取り決めてからトランクを捕捉するようになるため、グレアが発生する可能性は最小限に抑えられます。グラウンド スタートは、接続および接続解除を確実に認識できるため、PBX 接続に最適なシグナリング方式です。PBX にはグラウンド スタート シグナリングをサポートしていないものがあるため、そのような場合、トランク インターフェイスにはループ スタート シグナリングを使用する必要があります。

3) E&M シグナリング
 E&M シグナリングは、コールが recEive または transMit (E&M) 状態になると、2 線式または 4 線式の回線上で直流(DC)を使用して、エンドポイントまたは CO スイッチに信号を伝えます。E&M シグナリングが使用する信号は、オフフックとオンフックの状態を示します。接続が確立すると、オーディオ伝送が行われます。正常な接続のためには、トランク インターフェイスの両端で E&M シグナリングのタイプが一致している必要があります。Cisco CallManager は、次のタイプの E&M シグナリングをサポートします。

* ウィンク スタート シグナリング :
発信側が、オフフック信号を送信した後、コールのダイヤル番号を受信する準備ができたことを示す受信側からのウィンク パルス信号を受信するために待機する。ウィンク スタートは応答監視を備えているため、最適なシグナリング方式です。CO と PBX には、ウィンク スタート シグナリングをサポートしていないものがあります。

* 遅延ダイヤル シグナリング :発信側が、オフフック信号を送信してから、設定可能な期間待機した後、受信側がオンフックになっているかどうかをチェックする。受信側がオンフックになっていれば、発信側はダイヤル番号を送信します。遅延を使用すると、受信側がコールを受信する準備ができたときに信号を伝えることが可能になります。

* 即時スタート シグナリング :発信側が、オフフックになってから限られた期間(たとえば 200 ミリ秒)待機した後、受信側からの準備信号を待たずにダイヤル番号を送信する。

4)  チャネル連携信号(CAS)
Channel associated signaling(CAS; チャネル連携信号)は、オンフックとオフフックの信号を、オーディオ伝送と同じチャネルでフレーム内のビットとして送信します。CAS はシグナリング用に音声チャネルからビットを奪うため、損失ビット シグナリングとも呼ばれます。この信号には、監視やアドレッシングのほか、ビジー トーンやダイヤル トーンなどのトーンを含めることができます。

* T1 CAS:
T1 CAS トランク インターフェイスは、インバンド E&M シグナリングを使用して、リンク上で最大 24 接続を搬送します。T1 リンクの両端では T1 CAS シグナリングを指定する必要があります。Cisco CallManager では、一部の MGCP および H.323 音声ゲートウェイとネットワーク モジュールに対してポートを設定するときに、T1 CAS シグナリング オプションを使用できます。サポートされるゲートウェイの詳細については、 音声ゲートウェイ モデルの要約 を参照してください。

* E1 CAS:
H.323 モードの Cisco ゲートウェイには、リンク上で最大 32 接続を搬送する E1 CAS トランク インターフェイスをサポートできるものがあります。E1 CAS シグナリング インターフェイスの設定は、Cisco CallManager Administration ではなくゲートウェイ上で行う必要があります。E1 リンクの両端では E1 CAS シグナリングを指定する必要があります。

(3) デジタル電話用信号方式
要するに、ISDN用信号方式ということである。 
信号だけを搬送する専用チャネルの common channel signaling(CCS; 共通チャネル信号)を使用します。T1 リンクでは、1つのチャネルが信号を搬送し、その他のチャネルが音声またはデータを搬送します。最新世代の CCS は Signaling System 7(SS7)として知られ、監視やアドレッシングのほか、automatic number identification(ANI; 自動番号識別)などの各種サービスを提供します。

Integrated Services Digital Network(ISDN; サービス総合デジタルネットワーク)は、プライベートまたは公衆のネットワーク サービスへのユーザ アクセスに関する一組の国際標準です。ISDN はユーザに、回線ベースとパケットベースの両方の通信を提供します。

1) 基本速度インターフェイス(BRI)
小規模オフィスと家庭の通信リンクに使用される Basic rate interface(BRI; 基本速度インターフェイス)は、音声とデータ用に 2 つの B チャネルと、シグナリング用に 1 つの D チャネルを提供します。

2) T1 一次群速度インターフェイス(T1 PRI)
T1 Primary rate interface(PRI; 一次群速度インターフェイス)は、北米と日本の企業通信リンクに使用されます。T1 PRI は、音声とデータ用に 23 個の B チャネルと、共通チャネル信号用に 1 つの D チャネルを提供します。T1 PRI が使用する通信速度は 1.544Mbps です

3) Q.Signaling(QSIG)
企業ではさまざまなベンダーからの既存の通信機器を保持しているため、Q signaling(QSIG)プロトコル システムを使用すると、さまざまな通信機器間で相互運用を行い、機能を透過的に使用することができます。

QSIG プロトコルは、Private Integrated Services Network(PISN)のサービスおよびシグナリング プロトコルを定義する一連の国際標準です。これらの標準は、Integrated Services Digital Network(ISDN; サービス総合デジタルネットワーク)の概念を使用しており、ISO/IEC によって定義された International Standards for Open Systems Interconnection のフレームワークに準拠しています。QSIG プロトコルは、ISDN D チャネル音声シグナリングの変種として機能します。ISDN Q.921 および Q.931 標準は、PBX 相互接続の世界標準を規定する QSIG プロトコルの基盤となります。


(4) SS7
共通線信号方式という意味ならば、「No.7共通線信号方式(SS7)と」「Dチャンネル共通線信号方式」に分かれる。 Dチャンネル共通線信号方式の機能はISDNにある。

SS7はCCS(Common Channel Signaling)であり、さまざまな機能を持っているが、それは以下のようである。
1) 局間通信
2) 相手内線番号表示
3) リセットコール
4) キャンプオン
5) OGキューイング
6) 緊急時連絡電話
7) 可変不在通話
8) フルコールバック・トランスファー
9) 簡易転送
10) ページング
11) 話中内線割り込み
12) 着信音接続
13) 集中局線応答
14) 中継局状態表示
15) 局間のDI/DIL/DID
16) コールウェイティング
17) 不在案内表示
18) ローミング
19) 局間ネーミング表示
20) 公専接続の発ID転送


※ 帯域内シグナリングがCASであり、帯域外シグナリングがCCSであり、このCCSにはSS7とQSIGの二種類がある。

※ 通信路を形成させる為の約束が信号方式である。 
UNI (User Network Interface), NNI (Network Node Interface)

※ ダイヤル方式
直接送信: 加入電話(アナログ電話)
貯留後送信: INS, IP tel

貯留式のボタン操作
オフフック ⇒ 送信、の決め事: 
1) ボタンとボタンの間は4秒以内に押す。
2) 全てのボタンはオフフックから20秒以内にすべて押す。
3) 約4秒間操作がないと発信する

※ 着信時のベルの鳴り方
[1秒鳴る]→[2秒無音]→[1秒鳴る]→[2秒無音]→[1秒鳴る]→[2秒無音]→[1秒鳴る]→[2秒無音]…


4.1.3 NTTのサービス (網側)の例
(1) ナンバーディスプレイ
・誰からかかってきた電話なのかが分かる。 これは回線が分かるということ。
・V.32モデム使用
・ナンバーディスプレイ対応子機必要

(2) 非通知通信
1) 184と186
まず回線とそれぞれの通話に対して、発番号を隠すのがみせるのかを決める。
回線自体は発番号を隠さないが、184とつけて発信すると、その発番号が分からない、相手には非通知と出るものである。 また、回線自体を隠している場合、184と逆に186をつけると、発番号が相手に通知される。 
この場合だと、186をつけないと常に非通知通信ということになる。 

2) 非通知理由
・P (privacy): 発信者が非通知選択
・C (Coin &): 公衆電話
・O (Out of Service): 網側の理由

(3) キャッチフォン
0.3秒〜1.0秒以内にONフック ⇒ フッキング操作
2.2秒以上 ⇒ 切断






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