4.4. FRとATM
4.4.1 フレームリレー
フレームリレーとは、パケット通信X.25を簡略化したもので、ネットワーク内の通信処理を軽くすることで高速化を図っている。 背景には、データ量の増大が高速ネットワークを必要とし、TCP/IPプロトコルがEND-ENDでエラー訂正をするために網でのエラー処理は不要となった。
・X.25は、パケット交換機がエラーの検出と再送などの回復機能を持っている。
・X.25は、隣接するノード間はHDLCの1種であるAPBといデータリンク層のプロトコルでエラー検出・再送を行い、さらにネットワーク層で送信元ノードと受信側ノード間でエラーやパケットロスのチェックを行う。 よって、品質が悪くても高品質な伝送を実現できる。 デメリットは、丁寧な制御をするために効率が悪いこと。
データリンク
フラグシーケンス:01111110 01111110
HDLC(LAPB)フレーム
データリンク
フラグシーケンス:01111110 01111110
フレームリレー
X.25では、ネットワーク層で、LCGN/LCNなどが24ビット、ユーザー・データ(上位プロトコルのデータ)があり、データリンク層と明確に区別している。 これに対して、フレーリレーは区別無し。
■ フレームリレーの通信機能
常時固定的に接続 ⇒ PVC(Permanent Virtual Circuit)
通信の都度エンドシステム ⇒ SVC (Switched Virtual Circuit)
からフレームリレー交換機に通信相手をアドレスで指定してコネクション設定。
※ 実際、SVCは使わない。
■ DLCIの用途
DLCI値 用途
0 PVC状態確認手順用
1〜15 使用不可
16〜991 ユーザー・データ転送用 (ユーザーが使えるもの)
992〜1006 使用不可
1007 CLLM (Consolidated Link Layer Management)メセージ用
1008〜1023 使用不可
※ CLLMとは、交換機がエンドシステムに輻輳を通知すること。
■ CIR (Committed Information Rate: 認定情報速度)
フレームリレー網がPVCに対し情報転送速度を保証する概念。 物理的な回線速度ではなく、単位時間内にPVCが転送できる情報量=スループット。 単位はbps。
4.4.2 ATM
Asynchronous Transfer Mode
53ビットで固定したセルというパケットに分割し、物理レベルのフレームに動的に割当てる方式。
TDMの低遅延と、FRの可変帯域幅の特徴をもっている。 それにより、複雑且つ強力なトラフィック制御機能で、アプリケーションが求める多様な特性と品質を持った通信サービスを同一のネットワーク上で提供できる。 よってマルチメディア通信に適している。
ATMのプロトコル構造
AAL
(ATM
Adaptive Layer)
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CS
(Convergence
Sub layer)
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セル分割前処理(送信側)
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セル組立て後処理(受信側)
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SAR
(Segmentation
and Reassembly)
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セル分割
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セル組立て
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ATM
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セルヘッダの生成
VPI/VCIによる交換
セルの多重化と取り出し
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PHY
(Physical
Layer Protocol)
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TC
(Transmission
Convergence Sub layer)
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伝送フレームの生成
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セルスピードの調整
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セル同期(セル境界の識別)
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PMD
(Physical
Medium Dependent)
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ビットレベルの伝送
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電気的、光学的インターフェース
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媒体(光ファイバー、同軸、ツイステッドペアケーブル)
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ヘッダ (5バイト) + 情報 (48ビット)
ATMは、TDMの特徴とフレームリレーの特徴を併せ持つ通信方式。
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