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第3章 VoIPとネットワーク


3.2 OSIとイーサネット

3.2.1 OSI参照モデル
OSIは、ISO (国際標準機構)が定めたコンピュータにおける通信機能の設計方針に関する標準規格である。ネットワークがどのようにつながれるべきか、様々な議論が行われた結果、OSI参照モデルでは、ネットワークを階層型に分割したモデルが採用されている。
 OSI参照モデルは、ネットワークプロトコルを7つの階層にわけています。プロトコルを7つの階層に分けることで、各階層が受け持つべき役割を限定し、各ネットワークプロトコルを単純化することができるからである。
 各階層は、下位にある階層からそれら階層が提供するサービスを受け、上位層に特定のサービスを提供します。上位層と下位層という異なる階層間でやり取りを行う時の約束事をインターフェース、同じ層の間での通信の約束事をプロトコルと言う。

 OSI参照モデルにおける7つの層は次のようになる。

 
第7層 アプリケーション層 特定のアプリケーションに関するプロトコル。telnetやftpなど特にユーザが直接関わる部分を規定する。
第6層 プレゼンテーション層 データ表現に関するプロトコル。圧縮方式や文字コードなどといった、データ表現について規定する。
第5層 セッション層 データ転送のやりかたを規定するためのプロトコル。コンピュータ間のコネクションや切断などについて規定する。
第4層 トランスポート層 データ転送の信頼性を保証するためのプロトコル。TCPやUDP、誤り訂正の方法などを規定する。
第3層 ネットワーク層 コンピュータ間のネットワークの接続方法を規定するためのプロトコル。データの経路選択やIP、パケットサイズの変換方法などを規定する。
第2層 データリンク層 直接にネットワークにつながっているコンピュータ間での通信方法を規定するためのプロトコル。0と1の数字列を意味のある塊(フレーム)に分ける方法などを規定する。
第1層 物理層 ネットワークにおける物理的な信号や接続方式を決めるためのプロトコル。電圧や光の点滅とビット列の関係を定めたり、ケーブルの材質やコネクタの形状などを規定したりする。

OSI参照モデル各層のイメージと、具体例

OSI参照モデル


3.2.2 イーサネットの仕組み

3.2.2.1 概要
Ethernetは、OSI参照モデルの物理層とデータリンク層の使用を定義したのもので、伝送媒体と伝送方式(プロトコル)について規定している。
CSMA/CDとは、メディアアクセス制御のルールを規定したもので。 利用するのは共有をEthernetチャンネルとして同軸ケーブルを使った、半二重通信である。 (IEEE802.3)
Ethernetの半二重通信は効率が悪いため、全二重通信の規格が出来た。 ⇒ IEEE802.3u

3つの条件
@ 全二重通信利用可能な伝送媒体を利用
A 通信ノードのイーサネットインターフェースが全二重通信対応
B 通信ノードに全二重通信方式が設定できる。

(1) フロー制御:
受信ノードが受信フレームを処理しきれない場合、MACプロトコルの制御フレームの「PAUSEコマンド」を送信する。(全二重通信においての処理)  PAUSEコマンドは、「01-80-c2-00-00-01」アドレス(マルチキャストアドレス)に向けて送信される。 (IEEE802.1D標準で予約) PAUSEコマンドでは中継時間(送信の)を指示する。

(2) イーサネットフレームの最小の長さは、64バイト(512ビット)  CS<A/CD制御情報、待ち時間は20バイト(160ビット) 合計、84バイト(672ビット)  MACアドレスを使ってパケット通信を行う。

(3) Ethernetの伝送媒体の規格

伝送規格媒体名

IEEE仕様

ケーブル種類

全二重通信

伝送速度

トポロジー

セグメント最大伝送距離

10Base5

802.3

同軸(太芯50Ω)

不可

10Mbps

バス

500m

10Base2

802.3a

同軸(細芯50Ω)

不可

10Mbps

バス

185/300m

10Base-T

802.3i

2対カテゴリ3/4/5ツイストペアケーブル

10Mbps

スター

100m

100Base-TX

802.3u

2対カテゴリ5ツイストペアケーブル

100Mbps

スター

100m

100Base-FX

802.3u

2芯マルチモードファイバ

100Mbps

スター

2000m

1000Base5-SX

802.3z

2芯マルチモードファイバ

1Gbps

スター

550/275m

1000Base-LX

802.3z

2芯マルチモードファイバ又はシングルモードファイバ

1Gbps

スター

550(マルチ)/5km(シングル)

1000Base-CX

802.3z

2対シールドペアツイストペアケーブル

1Gbps

スター

25m

1000Base-T

802.3ab

2対カテゴリ5ツイストペアケーブル

1Gbps

スター

100m


3.2.2.2 Ethernetの特徴

10MbpsのEthernet・・・「5,4,3,2,1ルール」
・ セグメントの数は5つ
・ データの経路上におけるリピーター(共有型ハブ)は4台まで
・ これらの内、ノードをおけるセグメントは3つまで
・ 残りの2つのセグメントにはノードを置いてはいけない。
・ 以上のように、接続されたセグメントは1つのコリジョン領域を形成する。

NICとスイッチングハブとの間のネゴシエーションのトラブルも注意。

(1) Ethernet利用率の上限の目安

接続のタイプ

ワイヤスピード

平均利用率の上限

平均データスループットの上限

ピーク時利用率の上限

ピーク時のデータスループットの上限

共有Ethernet

10Mbps

30%

3.0Mbps

80%

8Mbps

スイッチ型Ethernet

10Mbps

85%

8.5Mbps

90%

9Mbps

スイッチ方全二重Ethernet

10Mbps

190%

190Mbps

190%

19Mbps

共有Fast Ethernet

100Mbps

30%

30Mbps

80%

80Mbps

スイッチ型Fast Ethernet

100Mbps

85%

85Mbps

90%

90Mbps

スイッチ型全二重Fast Ethernet

100Mbps

190%

190Mbps

190%

190Mbps

共有全二重ギガビットEthernet

1000Mbps

60%

600Mbps

120%

1600Mbps

スイッチギガビットEthernet

1000Mbps

190%

1900Mbps

190%

1900Mbps



イーサネットではIPアドレスを使って、本来知りえない相手のMACアドレスを知る。

最悪な条件で、正常に衝突を検出するためには、一番遠い相手にフレームが届く時間に加えて、衝突が起こった場合のジャム信号が戻ってくる時間が必要。
これをスロット時間という。 512bit時間

10Mbpsを使うと、
  512 x1/19999999 = 51.2μsec
512bit = 64byte ⇒ イーサネットのフレームサイズの最小値は64バイトとなっている。

(2) なぜ512ビット時間か?:
ネットワークの全長と信号の速度 + 余裕時間 で決まる。


3.2.2.3 アクセス制御
アクセス制御(CSMA/CD)

[ノード]←===信号===→[ノード]

信号速度は、0.556マイクロ秒/100m

 =信号>=→x←=<信号>=→x←=<信号=

        ||           衝突        ||               衝突        ||

     信号                       信号                      信号

        ||                           ||                              ||

                                                             

* ◎はノード)

そもそもCSMA/CDは、共通イーサネットチャンネルとして同軸ケーブルを使った半二重通信において、メディアアクセス制御(MAC)のルールを規定したもの。

[衝突発生]⇒[ケーブルの電圧上昇]⇒[発信元ノードに電圧上昇した旨が伝わる]⇒[送信元は@送信を即座に中止 A今送った(=○時○分に送った信号という意味だろう)信号を取り消しする信号(ジャム信号)を送出する。] ⇒ [○時○分に送られた信号は、ジャム信号が発信元から来たので、その信号(データフレーム)全体の廃棄を行う。 これは受信元の作業]

⇒受信側ノードとしては、間違いなく信号の廃棄をするためには、データフレーム全体を受信する前に、ジャム信号が自分に届く必要がある。

   ◎   ◎   ◎

   ‖   ‖   ‖

========================□

-----------L------------→

電気信号速度: E0

Ev = l/s = 0.556μsec/100m x 1/s

=0.0056μsec/m

Et 2l/Ev

=========□------→t

----Dt---→

Dt:データフレームの送出にかかる時間

CSMA/CDが動作の為には、Et<Dt である必要がある。


・電気信号の往復時間:ネットワークの直径
・データフレームの送出にかかる時間:データフレームの長さ、伝送速度による。 スロットタイムという。

Ethernetでは伝送速度毎にデータフレームの最小長とネットワークの最大規模が決められている。

しかし、全てのノードがスイッチングハブと全二重通信モードで接続されたネットワークでは、もはやCSMA/CDのアクセス制御は必要ない。

Ethernetでは送りたい情報を送信するために、パケットを使用する。

3.2.2.4 Ethernetの構造

イーサネットヘッダー

CRC: Cyclic Redundancy Check





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