本文へジャンプ



第1章 VoIP技術


1.7 ENUM

1.7.1 ENUMとは
電話番号をネット上のアドレスやサービスと対応付け、アクセス手段として利用する技術で、電話番号に対してインターネット上のサービスを対応させるメカニズムである。 2003年9月よりENUMトライアルジャパンにより実証実験が続けられている。 ENUMは、電話番号としてITU-Tにより管理されるE.164電話番号を用い、それをドメイン名に変換し、URIを登録することができるリソースレコードをDNSに記述することで、電話番号に対応するURIをDNSに登録する。   ITU(国際電気通信連合)が定めた国際的に一意な電話番号体系(「E164」と呼ばれる)と特殊なドメイン領域(「.e164.arpa」のサブドメイン)をDNSで対応させることにより、電話番号とネット上のサービスやアドレスを対応させている。1つの番号に対応させるアドレスなどは複数でもよい。例えば、自分の電話番号をENUMで電子メールアドレスやFAX番号、WebサイトのURLなどと対応させておけば、電話番号が自分へのアクセス手段の統一的な識別番号として利用できるようになる。

1.7.2 標準化の背景
 ENUMの標準化が行われてきている背景として、E.164電話番号は全世界でユニークな番号であること、数字だけであるので言語に依存しないこと、またインターネットで音声を運べる環境が整備され、VoIP(Voice over IP)システムが普及してきたことが挙げられる。 
 そこで、VoIP端末を(電話)番号で指定したい、VoIP端末(IP電話)の番号はインターネットのデータベースで管理したい、さらには、インターネットの各種資源を(電話)番号で指定したいという考えに基づいて、ENUMの実現方式が検討されてきた。
 ENUMのプロトコルはIETF ENUMワーキンググループで標準化され、2000年9月にRFC 2916がProposed Standardとして発行されました。RFC 2916では電話番号からドメイン名への変換方式が定義され、専用のドメイン名として e164.arpa が用意された。また、ドメイン名へのサービス登録方法として、RFC 2915で定義されているNAPTRリソースレコードを用い、またそのサービスがENUMで使われることを識別するためにE2U(ENUM to URI) という文字列を用いることが決められた。その後、NAPTRリソースレコードがDDDS という仕組みの中で再定義されたことやあいまいさを減らすためにRFC 2916を改良する議論が行われ、現在標準化手続き中である。

1.7.3 ENUMとドメイン
 ENUMは、電話番号に対応付けられるサービスのURI(*1)をデータベースに登録し参照する仕組みであり、データベースとしてDNSを用いる。 具体的には、電話番号が与えられると、以下に述べる手順でドメイン名に変換する。 例として、 「03-1234-5678」という電話番号に対応するENUMのドメイン名は、先頭の0を日本の国番号81で置換して逆順に並べた「8.7.6.5.4.3.2.1.3.1.8.e164.arpa」となる。 このドメイン名に、NAPTRリソースレコードを用いてURIをDNSに対応付ける。

+81312345678に sip:info@abc.co.jp を登録する場合、以下のようにDNSに登録することが提案されている。

$ORIGIN 1.8.e164.arpa.
1.7.5.2.7.9.2.5.3 IN NAPTR 0 0 "u" "E2U+sip" "!^.*$!sip:info@abc.co.jp!" .

 ENUMと同じ方式を、ENUMのTLDであるe164.arpa以外のドメイン名を用いて実装した場合のことを、ENUMライクという。自組織のドメイン名をTLDとしたENUMライクDNSを用いて組織内の内線番号の管理をしたり、電話網の経路制御のデータベースを実装したりするということが考えられている。

1.7.4 E.164
RFC2916 ITU-T

Cc (country code) NDC (National Destination Code) SN (Subscriber Number)
-- 1〜3桁 -- --- 12 〜 14桁 --- 合計: 15桁






Opening
   Copy Rights 2006 Hishou Techno Com All rights reserved